TOP >>資料 >>雑誌記事など >>アジアのモナコに成長するマカオ
いよいよ8月28日にベネシアン・マカオ(3000室)が開業する。これを皮切りに、今後、7年間の間に巨大リゾートの新規開業が連続する。ラスベガス(ベネシアン、Wynn、MGMなど)、オーストラリア(クラウンなど)、イギリス(バージングループなど)をはじめとする外国からの投資額は少なくとも250億ドル(3兆円)。それぞれの母国で実績を積んできた各社は成功を確信している。ベネシアンでは開業後2年間はすでに40を超えるイベントを誘致済み。NBAチャイナや香港ジュエリーショーなどもマカオで開催される。展示会場はベネシアンだけで10万平米。幕張メッセの展示ホール約7万平米、東京ビッグサイトの8万平米よりも大きい。2010年までにはマカオ全体で少なくとも25万平米の展示会場、延べ2万5000席のライブ・ショーの客席、延べ30万平米のショッピングモール(新宿高島屋の複合ビルの床面積が5万5000平米)が開業する見込みだ。
これまでのマカオの観光客は、純粋な博打目的。ラスベガス式が加わることで観光の目的も観光客の国籍も多様化する。その巧妙さは、イベントを軸に据えることでビジネス客と家族も集客すること。「仕事関係のイベントがあるから」とマカオを訪れたビジネス客が、夜になれば、ちゃんとカジノに繰り出すことはラスベガスが証明している。さらにショッピングやショーを目的とした観光客も同時に取り込む戦略だ。
都市基盤も整備されつつある。空港の容量はマカオ空港の新ターミナル建設で拡大する。第二フェリー埠頭の開業で香港島や香港空港とマカオを結ぶ高速船フェリーも増便。新交通システムも年内の着工が決まり、マカオ内の移動も便利になる。2010年にも着工と噂される香港とマカオを結ぶ自動車橋が完成すれば、香港空港もマカオへのアクセスに使える。
カジノの規模がラスベガスを引き離して世界一になったように、この街づくりが完成すると、住宅価格でも世界一になる可能性すらある。依然としてマカオの住宅は香港島の半分以下だが、観光客数でも、一人あたりGDPでも香港を超えたマカオが香港を上回るほうが自然だ。居住用と「ホテルがわり」の両方の需要に加えて、マカオ政府の政策も高値誘導にみえる。
人口密度は世界トップクラスで、東京の渋谷区と新宿区を足した程度の狭さに50万人が暮らす。さらに、新規リゾートの開業で追加50万人の労働力が必要。高卒18歳のカジノディーラーが月収30万円を得るという好景気だから高級労働者の購買力も旺盛だ。
ホテルは2010年までに3万6000室が整備される。観光客数はラスベガスの3900万人よりは少ない3500万人程度と予想されているが、ラスベガスのホテルが13万室で9割稼働していることを考えると、マカオのホテル供給は少なすぎる。砂漠の真ん中で住宅用地には事欠かないラスベガスですら、巨大リゾートの開業後は、大イベントがあると満室になってしまうホテルを嫌気した定期訪問者やイベント関連企業の「ホテルがわり」需要で物件価格は4倍になったといわれる。
マカオ政府は低所得者層に住宅を安値で提供する一方で、公共用地の入札価格を値上げする様子。結果として不動産価格そのものは高値で推移し、安値で住宅を手に入れた低所得者層が、結果的に資産家の仲間入りをする仕組みづくりにもみえる。「アジアのラスベガス」の次に、マカオが目指すのは金持ちが集まる「アジアのモナコ」なのかもしれない。