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クラウンマカオの開業も間近

 東京の新宿区と渋谷区を足した程度の面積に、2600万人の観光客が押し寄せ、ラスベガスを上回る世界一のカジノ売上のあるマカオ。50万人が暮らす「アジアのラスベガス」は世界でも有数の豊かな街だ。税金は香港よりも安く、医療や教育も無料。しかし、不動産の値段は香港の40%程度である。マカオの不動産価格が上昇を続けているのは事実だが、香港と比べれば依然としてお値打ち感がある。  2007年後半にはラスベガス資本の3000室のベネシアン・カジノ・リゾートが10万平米の巨大なイベント施設とともに開業する。「6つ星」ホテルのクラウン・マカオの開業も間近だ。今のマカオには不動産が値上がりする要素が揃っている。 ホテルの客室供給は2010年までに2万4000室、旅行者あたりの滞在日数は1.23日、旅行者数は3600万人と予想される。世界一の座にあるカジノ売上高は、ますますラスベガスを引き離す勢い。すでに1人あたりGDPでは香港を抜いているというマカオの強い経済成長は、観光業とともに急成長を続けるだろう。実体経済が成長している国で、不動産が成長しない理由は考えにくい。日本のような経済成長が一段落している国とは事情が違う。 長期滞在者やイベント出展者、ホテルや店舗の管理職クラスといった人々への住宅ニーズの高さは、誰にも予想がつく。現在、不動産の価格も売買価格が上昇傾向にあるだけではなく、賃貸住宅の価格も上昇が加速ぎみだ。新規開業するホテルが従業員の募集や研修を開始したことで、強力な実需がうまれている。売買価格と賃貸価格が互いに追いかけるように上昇しているマカオの市場は、健全に発展しているといえる。しかもマカオの土地は狭く、埋め立てのできる余地も少ない。このため希少性という値上がり要因もある。 外貨の持込・持出への規制がなく、外国人の不動産私有が可能。不動産の売却益は無税というのもマカオに不動産投資が集まる背景にある。また、建設前の物件による短期売買も盛んだ。たとえば4000万円の物件であれば、初年度に払う代金は約3割の1200万円。これを次年度の支払前に15%増で売れば1200万円の投資で600万円の利益。投資利益率50%となる。実際、マカオの不動産は、年率5%から20%の範囲で上昇傾向が続いている。 値上がり傾向とはいえ、マカオの不動産の価格帯は香港の40%程度。まだまだ成長余力が大きくみえる。2010年頃には香港とマカオを結ぶ自動車橋が着工する予定。マカオと香港を自動車で行き来できるようになったときに、マカオの不動産価格が、香港より安いままだと思えるだろうか。  なお、去る4月4日から、マカオ政府は投資移民ビザの新規受付を停止した。「マカオに不動産投資をするとマカオに永住できる」という宣伝ができなくなったことで、不動産価格の下落を心配する向きもある。しかし、この受付停止は低所得者向けの住宅確保を目的としたもの。高級物件への影響は少ないとみられる。むしろ、投資移民ビザというオマケなくしても、マカオの高級不動産は十分に自力で発展できる力を持ったという政府の自信の現れと考えた方がいいだろう。  投資移民ビザは150万香港ドル(約2300万円)を投資するとマカオに永住できるというもの。結果、100万香港ドル近辺の不動産が異常に値上がりしてしまい、低所得層が家を買えない状態を招いた。マカオ政府は、投資移民ビザの新規受付とともに、低所得者層向けの公営住宅を安価で供給することも発表。外国からの投資は高級物件に集約される形となる。 ちなみに、投資移民ビザの受付停止は新規分のみ。これまでに受付済で審査予定の約4000件については、影響は受けないと政府発表は強調している。過去にさかのぼって受付済のものをキャンセルするといった無茶はしない。ウェスタン・スタンダードに基づく行政はマカオの魅力の1つで、ポルトガル領時代の法制度が特別行政区として50年間維持される。 逆に、香港という投資欲の強い街の隣にあるマカオの不動産価格が、なぜ未だに香港よりも安いのか。マカオが「フジテレビができる前のお台場」状態だからだ。フジテレビに相当するのが、ベネシアンなどラスベガス系カジノリゾート。開業前の現時点では、香港の人々にとってのマカオは、かつての田舎町のまま。開業すれば香港の人々のマカオへの見方は一変し、投資熱も加速しそうだ。投資ビザの受付停止によって「よちよち歩き」から「ひとりだち」に成長したマカオの不動産。ベネシアン開業による香港人の「目覚め」で一気に飛翔する日が近づいている。