TOP >>資料 >>雑誌記事など >>日本人が優位なマカオ投資
マカオへの不動産投資では、珍しく日本人が優位にたてる。理由はラスベガスを知っていること。マカオがアジアのラスベガスになることは既定事実。だが、単なる賭博場とラスベガス・モデルの差を理解している中国や香港の投資家は多くない。たしかにマカオの不動産は年率約2割で成長している。「1年で2割。3年で5割」と証券アナリストは将来の不動産価格の上昇幅を予測する。数値的には十分に魅力的だが、実はGDPの成長予測と同じレベル。成長国の不動産市場では、しばしば不動産の価格上昇がGDP成長を上回ることを考えれば、まだまだ加熱状態とはいえない。ラスベガスを知っているアメリカ人や日本人にとって、マカオの不動産は割安に映る。
ラスベガスは単なるカジノの街ではない。イベントやショー、ショッピングも充実している総合エンターテイメントだ。カジノは集客を目的にイベント会場を安い値段で提供する。イベント主催者は経費が安い上にエンターテイメント都市として魅力的なラスベガスを開催地として選択する。かくして多くの展示会や企業のセミナーがラスベガスで開催され、参加者は「仕事だから仕方なく」と言い訳しながらも、笑顔でラスベガスに集まり、仕事が終わればカジノやエンターテイメントに興じる。
このビジネス構造は、ミーティング、インセンティブツアー(報奨旅行)、コンベンション(大会)、エキシビション(展示会)の頭文字をとってMICE(マイス)と呼ばれる。マカオ政府の後押しのもとで、マカオのコタイ地区に誕生する巨大リゾート群は、まさにマカオでMICEを実現する。たとえば今年夏に開業するベネシアンリゾートの展示会場だけでも10万平米とアジア最大規模。すでに香港などで開催されてきたイベントの多くがマカオでの開催を表明している。
創出される新規雇用は、現在のマカオの人口と同数の50万人以上。2010年には年間で3500万人の観光客がマカオを訪れ、ホテル客室数は3万6000室まで増えると予想される。観光客が平均で2泊すると、ホテルは満室となってしまう計算だ。ラスベガスの発展を知っているアメリカ人や日本人にとっては、管理職クラスの労働者やイベント関係者などによる住宅ニーズの高さを容易に予想できる。
ところが香港や中国の投資家の多くはラスベガスを知らない。旅行先としてラスベガスを選ぶ人も、テレビなどでラスベガスの町並みが紹介されることも多くない。マカオで活躍するラスベガス資本が、MICE路線と高級路線でラスベガスを代表する両巨頭であること----ベネシアンのラスベガスサンズ社は世界最大のコンピューター関連イベントだったコムデックスを始めとしたイベント事業でMICEを実現した最大手であり、ミラージュやベラージオなどの高級リゾートをプロデュースしたスティーブ・ウィン氏が率いるWynnリゾートはラスベガスの最高級ホテルであること----を聞いてもピンとこないのである。長い間、マカオを「田舎」として見下してきたことも手伝って、彼らのマカオへの評価は、単なる賭博場としてのマカオのGDP成長予測にとどまっている。
もちろん香港や中国の大手の投資家はラスベガスを研究しているし、だからこそ、大型のプロジェクトの多くに出資している。しかし個人投資家のレベルでは、マカオの評価はまだまだ。MICEによる爆発的に成長する未来を予測できるアメリカ人、日本人にとっては、マカオの不動産は依然として「お買得」だ。